日本人VRChatter特有の文化である「お砂糖」
メタバース上の恋人、パートナー関係を指す言葉として定着しているのは多くの方がご存知だと思います。しかしながら、一般的に「お砂糖は長続きしないもの。数ヶ月でお塩(=お砂糖関係の解消)するもの。」というイメージがまかり通っているようです。
当ブログにお越しくださっている方の中には「お砂糖 長続き」で検索していらしてくださっている方も一定数いるようです。筆者はお砂糖経験はあれど、お塩経験はありません。しかし、昨年のスタンミショックで増えたユーザー達によるお砂糖ラッシュと、その後のお塩ラッシュを目の当たりにして、賞味期限の短いお砂糖となってしまった方たちの傾向と、どうすれば長く関係を続けていけるのかを書いていこうと思います。
お砂糖の平均寿命
上述したように、筆者はお塩経験はありませんが、20組以上のお砂糖からお塩までを見てきました。そのなかで、早い方達で数日、正式にお塩するに至るには平均すると3ヶ月弱といった印象です。
しかし、「正式にお塩する」という言葉の通り、多くの方がお塩に至らないまでも実質的に関係が破綻している状態になってしまった状況になるのに大体1ヶ月半ほど。惰性で1,2週間続いて2ヶ月くらいでお塩する方が多かったように見受けられました。
もしかすると実質的なお砂糖の平均寿命は1ヶ月半程度なのかもしれないというのが筆者の考えです。
お塩(破局)に至った原因たち
お砂糖に対する認識の違い
そもそもお砂糖を「親友」としてなのか「恋人」としてなのかの認識の違いからすれ違ってしまった結果お塩に至ってしまったケース。リアル世界で言えば「えっ!?私達つきあってたの!?」となるパターンです。シンプルにつらい。
同性間のお砂糖はセクシャルジェンダーなんかも絡んだものなので触れづらいですが、異性愛者×同性愛者による恋愛としてなのかどうかすれ違いによるもの。リアルまで見据えるのか、VRChatだけで完結するのかという認識のすれ違いからお塩というケースもありました。
パートナーによる浮気
悲しい現実ではありますが、VRChatは「リアルと比べて何倍も浮気しやすい」環境にあります。見て分かる通り、周りを見渡せば美男美女しかいないんです。それに加えてフレンドのフレンドから更にそのフレンドに…と数珠繋ぎに人との交流が増えていきます。
外見の差がないに等しい世界ではあるものの、更に癖に刺さるアバターを使っている方がいてそっちに目が向いてしまったパターン。パートナーよりも好きな声をしている方に向かってしまったパターン。同性のお砂糖がいたけれども、異性ユーザーに吸い込まれていったパターン等様々なケースがありました。
プレイスタイルの違い
お互いがVRChatで何をしたいかが噛み合っていないケース。例を挙げるAさんは「フレンドと雑談したりイベントを楽しみたい」一方でBさんは「ずっと二人きりでプラベでいちゃつきたい」といった感じです。Aさんが他のフレンドさんと遊んでいる間、Bさんのフラストレーションはどんどん溜まっていき、最終的に爆発してしまいますよね。
上記のようなケースに限らず、片方が長時間のプレイが強いられる某ホラー鬼ごっこ系ゲームワールドに入り浸り、もう片方はホラーやゲームワールドに忌避感を持っていたために、コミュニケーションがとれなくなってしまった結果お塩にいたるケースもありました。
リアルとのギャップ
リアルで会った際にVRChat上の容姿とリアルでの容姿のギャップで冷めてしまってお塩するパターンもあるようです。男性同士でのお砂糖がオフであったときに相手の姿を見て夢から覚めてしまったような感情になるようです。
男性同士のお砂糖では起こりがちなパターンかもしれないです。筆者が耳にした話だとこれを避けるために絶対にオフ会はしないというお砂糖たちもいるようです。
お砂糖である必要がなかった
そもそもお砂糖としてより、いちフレンドとして交流を続けたほうが上手くいくと双方が認識して解消するパターンもあるようです。お互いに特別な感情がないなかで特に仲がいいからという理由からお砂糖になったものの、周囲との温度感や、関係性をお砂糖という枠にはめてしまったが故に返ってぎくしゃくしてしまったパターン。
気のおけないフレンドという枠組みであれば確かにお砂糖という概念は少々違うのかもしれません。このパターンは前向きなお塩のことも多く、関係解消後のほうが関係地が深まったりするケースもあるようです。
お砂糖関係の寿命が短い人の特徴
ここからは短期間でお塩をしてしまった人達がどれか一つでも当てはまる特徴があったのでそれらについて書いていきます。注意事項として、お塩をした人たち全員がそうであったというわけではありません。「お塩をしたからこういう人なんだ」とレッテルを貼るものではありませんし、特定個人を指しているものでもないのでご留意願います。
自己肯定感が低く依存心の強い人
VRChat界隈は他界隈と比べて多い気がします。自身のなさから「相手が誰かと浮気するんじゃないか。自分ことを一番に考えてほしいけど、相手にとって私にそんな価値はないんじゃないか。」とか「好きなのは自分だけで相手はそうじゃないのかも。」と不安になってしまう人。
自己評価は低いのにそれ以上を相手に求めてしまい、依存してしまった結果自分もパートナーも疲弊してしまうケースも多いようです。拗らせてしまうと過度に束縛してしまったり、逆に攻撃的になってしまったりとあまり良いことは有りません。
何故かお塩しても高確率で短期間のうちに次のお砂糖を作っている不思議な人種でもありますね。
承認欲求の強い人
お砂糖関係になることがゴールになっているケースです。フレンドやSNSのフォロワーが多い人とお砂糖になることで承認欲求を満たす。依存心の強い人を沼らせて欲求を満たす。など形はそれぞれですが、「人の興味をひく自分」「パートナーがいる自分」が好きな人もお砂糖関係が短命になりがちな印象を受けます。
上記の自己肯定感の低い人や性的な関係を臨んでいる人に好かれがちではあるので、こちらも意外とお塩してもそれほど期間をあけずに新しいお砂糖ができているイメージがあります。
自己中心的、奔放な人
お砂糖に限らず、フレンドとの交流でも苦労しがちなタイプです。パートナーができると自分の好きなことを一緒にやりたい。(でも相手の気持ちは二の次)だったり、パートナーが待ってる、喋りたそうにしてるのは分かってるけど、「自分は他のフレンドの○○さんと遊びたいからまずそっちに行っちゃおう。」なんてことが多いと耐えられる人は思っている以上に少ないです。
お互いがこのタイプだと合っているうちは大丈夫ですが、反発することもしばしばあります。かと言って我慢しすぎるのもよくないのでお互いに上手く折り合いをつけられるようにしていくといいですね。
恋愛経験が極端に少ない人
リアルでも言えることですが、経験が少ない人、特に初めての交際になるような人は短期間で別れることになる割合が多いように感じられます。経験値の少なさから距離感を見誤ってしまったり、交際・お砂糖に過剰な期待を持ってしまった結果、温度差が生まれてしまったり・・・。
ある程度経験のある方であれば、こういうものだと割り切れたり、「こういうことをしてあげるといい。逆にこういうことはしないほうがいい。」というラインを無意識に弁えているものですが、とりわけ初めてだったりすると難しい場合も多いです。あくまで多いというだけで、上手くいく人たちも少数ですがちゃんと存在はしています。
長続きさせるために
ここからは長続きさせる秘訣といってはアレですが、こうすると関係が続きやすいよと個人的に考えているものを挙げていきます。お砂糖はVRChat特有とはいえ、人間関係の一種であることに変わりはなく、リアルと通ずるものがあるのでイメージはし易いかと思います。
パートナーを尊重する
簡単に言えば、「相手の嫌がることをしない」「強引にわがままを通さない」「思いやりを持つ」ということです。「別にお砂糖なんだからいいじゃん。」といった立ち振舞を続けるとそう遠くない時期にいつか限界が来ます。
人と人の関係ですから、意見の相違は必ずどこかで起きますし、そこで上手く折り合いをつけるようにお互いに歩み寄るといい関係を構築することができます。
yahoo知恵袋でわかりやすく例えている人がいたので引用しておきます。

相手を軽んじない
VRChat上でよく見かけた光景としては、2人でフレンド+のインスタンスを立てているところに一方のフレンドがJoinしてきて、自分のフレンドとだけ盛り上がり続けた結果、無意識にパートナーを空気にように扱ってしまっていたシーンです。
本人としては悪気があるわけではなく、パートナーもそれを理解しているので構ってほしいのをじっと堪えることしかできず、後々爆発してしまったという光景をVRChatに限らず何度か目にしたことがあります。
こういった行動をとってしまう方は「自分よりも他者の優先順位を高く設定する」という特徴が共通していたように考えられます。その延長で悪気なく、無意識にパートナーを自分の所有物かのように考えてしまい、他人がいる場では優先順位を一番下まで下げてしまうのです。
人を思いやるのはもちろん大事ですが、いちばん大切な人の優先順位まで下げてしまうのはよくありません。度が過ぎると他者の目には「傲慢な人だ」と映る事さえあります。
他人そっちのけで2人の世界を作り上げてしまうのはよくないことではありますが、最低でもパートナーのことは他者と関わりながらでもお互いに意識して気にかけるようにするとよいかもですね。
コミュニケーションを大事にする
もはや当たり前ですね。コミュニケーション不足によるちょっとしたすれ違いからお互いに小さな不満が蓄積し、最終的に別れてしまう人はかなり多いです。筆者も失敗したことがあります。
特別な関係といえど、元は他人同士。お互いにエスパーでもない限りしっかりと伝え合うことをしなければそのうち必ず溝ができます。昭和の時代であれば、女は男に不満を言わずに黙ってついてこい的な風潮もあったようですが今は令和です。私事ですが祖父母を見てると「今の時代だったら絶対結婚すらしてないだろうな」とも思います。
日常的にちょっとしたコミュニケーションを取ること、連絡しあうことは勿論ですが、そのなかで愛情を言葉で伝えることでお互いに気持ちの保温もしやすくなりますし、安心感を感じられるようになります。
共通の友人、交流を作る
シンプルに話題が増えるのもありますし、同じ交友関係をもつことで一緒にいる機会も増えることになります。また、「2人の味方」ができるという意味でも安定した関係を保ちやすくなることもあります。
筆者は専門的に学んだことはないので詳しくは知りませんが、心理学的にも「共通の友人がいた方が安定しやすく、早く深く親密になりやすい」という話もあるようです。
「もし別れたときに居場所がなくなりそう。」「迷惑をかけてしまいそう。」と心配事もあるので、お互いに別々の交流を多く持つ人もいるようです。筆者に言わせてみれば「別れた後の事考えてる時点で先あるの??」と思っているのであまり共感はできませんが…。
ただし”恋人についての相談を友人にする癖”がある人は要注意です。パートナーの愚痴や不満を相談という形で友人に話しているのを知っていい顔をする人はいません。ましてや共通の友人に相談をしてしまうといくら相談相手の口が堅くてもいつのまにか本人に漏れてしまうケースもあります。「今度誕生日なんだけど何をあげたらいいかな」といったポジティブな相談でない限りは共通の友人に相談するのはやめておきましょう。
まとめ
VRChatという自由で刺激的な空間だからこそ、「お砂糖」という関係性はリアルよりも早く、深く、そして脆くもあるのかもしれません。けれど、お砂糖=すぐお塩、という固定観念に囚われすぎる必要もありません。関係性の持ち方に正解はありませんし、長く続いているお砂糖も実際にたくさん存在しています。
大切なのは、 お互いの温度感をすり合わせていくこと、そして 相手を人としてきちんと尊重すること だと思います。
VR上の関係性とはいえ、その先にいるのは自分と同じく悩み、喜び、不安を抱える“人”です。環境や出会い方が特殊なだけで、人間関係の基本は変わらないと、筆者は考えています。
「お砂糖を長続きさせたい」と思っている方の参考になれば幸いです。そしてもし今、関係に悩んでいる方がいたら、この記事が少しでも支えになれたら嬉しいです。